野草とともに
- あおまむしぐさ
- あいさつ
-
-
野草の一覧へ
さぎそう Habenaria radiata ラン科 Orchidaceae
私はこの“野草とともに”のシリーズをさぎそう(Habenaria radiata)で終わる。私は日本の野草の中の名花で,このシリーズを終わることができてたいへん嬉しい。
この花を見て日本人なら誰しも,日本には青鷺もいるのに,白鷺を連想する。姫路城が白鷺城とよばれるのは,その優美さの故である。したがってさぎそうの名には,この草の優美さも含まれていると考えてよいだろう。さぎそうのことを書こうと思って,手元にある図鑑などを読み漁っていて面白いことを見出した。ある本には,この花の姿を白鷺が飛び立つ姿であるとし,またある本では白鷺が舞い下りようとしている姿であるとしている。それで1989年7月27日に画き終えたスケッチを見てみたが,舞い上がっているようにも,舞い下りているようにも見え,どちらかに限定する必要はなく単に飛んでいるとすればよいと思った。この図はJR摂津本山駅の近くの二楽園という花屋さんで購入したものをスケッチした。
私は野草を求めて色んなところを歩き回ったが,野生のさぎそうには,一度しか出会ったことはない。それは30年近く前の真夏のある日,北摂能勢の奥にあった大阪府民センターの広い敷地の中に小さい池があり,その岸のやや湿ったところに数株のさぎそうが花をつけているのを見つけて感激したことを,今でもはっきり思い出す。こんな広い施設の中での一偶であったことが幸いして,抜かれることもなく残されていたのであろう。このセンターの施設やさぎそうが今でも残されているかどうかは知らない。私のさぎそうのスケッチは前述のように花屋さんで購入したものであったが,今でも時々売られているのを見る。
いずれにしても,私の年齢になれば,栽培種であれ,野生のであれ,絶滅してしまうよりは,何とか生命を保っていてくれている方がよいと思っている。(終)
- あおまむしぐさ
- あいさつ
-
-
野草の一覧へ