野草とともに

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きばなすかしゆり Lilium maculatum ユリ科 Liliacae

きばなすかしゆり Lilium maculatum ユリ科 Liliacae もう二年ほど前から阪急の西宮北口駅の 構内に花屋さんが出店し,美しい花々が駅 行く人の眼を楽しませてくれている。
今年 は初夏からきばなすかしゆりの切り花が並 べられ,私がこの原稿を書いている文化の 日(11月3日)にもまだ,並んでいる。

私は今から約10年も前に清荒神の駅前に 店を出していた老人から苗を購入し,それ を育てて,このスケッチをした(1989 年6月10日画くとなっている)。  
ところで,今店に並べてあるきばなすか しゆりは何時見ても,どこか物足りないと いう印象をぬぐいきれない。それは何故か わからなかったが,ふと気付いたのが花弁 に斑点がないことである。花弁の色が,私 が画いたものより,少し淡いこともさることながら,花弁の斑点の有無が,そんなに 花の印象に影響を与えるとは思いもかけな いことであった。
花弁の斑点が,その植物 によっていかなる意義をもつのかについて はよく知らないが,きばなすかしゆりの学 名の種名の方はmaculatusで,これは”斑 点がある”という意味で,花弁に斑点があ るということが,このゆりの特徴であると 考えられる。
ゆり科の花の花弁の斑点では,とくにほ ととぎす類の花弁の斑点は重要で,これがな ければ和名のほととぎすという名前は,つけられなかったに違いない。またほたるぶく ろCampanula punctataの種名のpunctatusも”斑点がある”と,その花弁の特徴を示し ている。こうしてみると花弁の斑点というものが,植物の分類には一つの指標として重 要であることがわかる。あけぼのそうSweritia bimalculatus(2個の斑点のある)の 黄色の斑点は蜜腺であるという説明を読んだことがあるが,それ以外に花弁の斑点につ いて纏まった記述を見たことがないので,今後はこの点について,注意していきたいも のと思っている。
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