野草とともに

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おおばこ Plantago asiatica オオバコ科 Plantaginaceae

おおばこ Plantago asiatica オオバコ科 Plantaginaceae おおばこ(大葉子)は誰でも知っている 野草であるが,生薬として全草は車前草, 種子は車前子として公定書に記載されている。
この属名のPlantagoはリンネの命名で“足 の裏”という意味である。それはこの種子に 粘着性があり,足の裏に付着して伝播するこ とによる。種小名のasiaticaはアジア由来を 表している。  
日本ではPlantago属としては,とうおおば こ(P.japonica)やへらおおばこ(P.lanceo lata)が牧野の図鑑に記載されている。
とう おおばこはchinensis ではなくてjaponicaで あるのでやまとおおばことでもした方がよい のではなかろうか。
また,へらおおばこlanc eolataはランセット( 皮針 )様の葉をもつ という意味のところを,あえて箟としている のは,よいと思う。

おおばこは私がまだ幼稚園へ行っていた頃 に風邪をひいて,これを煎じたものをのまされ て,とてもいやな匂いと味がしたのを思い出す。
こんなこともあって,なかなか画く気にもならなかった。このスケッチは1989年7月8日,神戸薬大の薬草園の近くの路傍で生えていたのを画いたものである。画いてみれば,これはこれなりに味のある野草であることがわかった。
その後,気をつけていると俳句(おおばこや礎石の窪に昨夜の雨 角川源義)にも詠まれているし,ある本には食用としてその料理法が書かれていたりして,民間でもそれなりに愛されており利用されていることがわかった。ドイツの『Teedrogen』という本にはせいようおおばこ子(P.afra)やインドおおばこ子(P. ovata)は,とてもよい緩下剤で裂痔,痔核,直腸~肛門の手術後の適用にはすぐれていると書かれている。
日本では車前子がこのような使われ方をされていることを聞いたことがないので,便秘に悩まされている人などにはよいのではないかと思っている。
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