野草とともに

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たけにぐさ Macleaya cordata ケシ科 Papaveraceae

たけにぐさ Macleaya cordata ケシ科 Papaveraceae たけにぐさはけし科に属する巨大な草であ る。
私が日本産のけし科植物のアルカロイド の研究で一番初めにテーマとして与えられたのがこの草であった。それまで,その名前を耳にしたこともなく,それが何処にあるのか も知らず,ただの図鑑の図と,夏に花をつけ るということだけをたよりに,闇雲に炎天下, たけにぐさを求めて歩き回った。
そして遂に 西宮の置くの鎌倉峡の近くの小川にかかる橋 たもとに2本立っているのを見付け,直感的 に,たけにぐさということがわかり,本当に 嬉しかった。それは1956年だから,もう 40年にもなる。
それでも,その時,近くの 農家で井戸水をいただいて,貪るように飲ん だことを思い出す。

その後六甲ケーブル土橋 駅付近,高野山のケーブルの両側,千曲川の 河川敷,大台ヶ原など,方々で新しく開発さ れた空き地などに群生しているのを見た。割 合いと一箇所に定住せず,次々と生育地を変 えていくことも知った。
一般には馴染みが薄いようであるが,俳句 の季題であったり,和歌に詠みこまれていた りして,この草が,ただ巨大であるというこ とだけでなく,日本人の誌想に訴えるものがあるらしい。
私は縁あって,1963年から1965年にドイツに留学する機会を得たが,その時,ハンブルグのBlomen u.Planten植物園を訪れた時に,その玄関脇にたけにぐさが植えられているのを見てびっくりしたが,その名札に“aus Japane”(日本産)と書かれていて安堵したものであった。その後,ロンドンのKew 植物園を訪れた時,その一隅に,たけにぐさと非常によく似た Macleaya microcarpaとが一緒に植えられていたり,ケンブリッジ大学やオックスフォード大学の建物の植え込みに植えられてるのを見て,この草が園芸植物として当事既に,ヨーロッパでは珍重されていることを知った。しかしこの草は,定着よりも移住を好むらしいが,依然として,ハンブルグやロンドンで安住しているか,どうか   が気にかかる。
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