野草とともに

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えのころぐさ Setaria viridis イネ科 Poaceae

えのころぐさ Setaria viridis イネ科 Poaceae えのころぐさは,その花穂を子犬の尻尾に 見たてて狗尾草があてられている。関東方面 ではねこじゃらしと呼ばれることが多いとさ れている。いずれにしても子供との係わりが 示唆されて,妙に童心をくすぐる風情を,こ の草はもっている。花期が意外に長く8~10 月となっていて,このスケッチも,メモによ ると1989年8月29日画となっている。  

この誰もがよく知っている草をスケッチし て,いったいどんなものになるかと危惧した が画くうちに,何時しか没頭することができ たことを思い出す。
二,三の図鑑で,この 草の独名がFuchsschwanz-gras(きつねの尻 尾草)であることを知り,ドイツの植物図鑑 で調べてみると豈はからんや,そこにはAlop- ecurus属(すずめのてっぽう属)の植物の図 が出ているではないか。しかもこの図鑑には Setaria属(えのころぐさ属)の記載はない。

この夏(7月),私はハンガリー大平原Hort- vagy pustaを訪れる機会があったが,その時, このことに気付いておれば,もっと丹念にえのころぐさを探したのにと非常に残念である。 この広大な大平原の片隅でぺんぺん草を見付 けたときは感動のようなものを覚えた。 Hortvagyに唯一あるエボナホテル前の植え込  みにははまなすやしもつけの小灌木があり,それぞれ美しい花をつけており,ホテルに通ずる道路わきには,おなじみのせいようたんぽぽや,しろつめくさがあり,きんみずひきやみやこぐさなども見た。それに日本ではあまり見られないキク科あきののげし属のLectuca perennisが美しい空色の花をつけ咲き誇っていた。少し乾いたところではもうずいかの立ち姿が随所に見られ,日本のまんてま類より大きい花をつける Silene vulgarisの群落もそこここにあった。
しかし,果たしてえのころぐさがヨーロッパにもあるのかどうかは今後の宿題にしたいと思っている。
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