野草とともに
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しろはなときそう Pogonia japonica f.alba ラン科 Orchidacae
ゴールデンウイークは現役時代はとても楽 しみにしていたものだが,現役を退いた私に はどうして過ごそうかと思い悩むほどである。
今年のゴールデンウイークには,武庫川河川 敷で朝市を開くという市の広報が来た。まだ 行ったことがなかったので,これに行くこと にした。
宝塚の西谷地区からの新鮮な野菜が並べら れていたり,たこ焼き屋さんなどの屋台が並 んでいる一隅に,植木屋さんのコーナーがあ った。
宝塚市の山本地区は江戸時代からの植 木屋さんの多いところで,,そこからも数件 が店を出していて,とても高価な松や槇など の植木が並べられている中,蘭ばかりを扱っ ている店も二,三軒あった。
その一軒でこの しろはなときそう(Pogonia jaonica f. alba) を見付けた。まだつぼみも小さいので”咲く やろか”ときいてみると”うちはそこに看板 を出している店や。咲かんようなものは売り まへん”とひどくしかられてしまった。一週 間ほどで,花が開いたので,早速スケッチし た。もともとときそうは,今や絶滅に瀕して いる名鳥ときの色に花色が似ているので命名 された。それでこの白色の花の為,敢えて forma albaを書き加えた。
ときそうで思い出されるのは,今から27年前の夏,台湾へ植物採集に行き,能高山に登ったとき,その山小屋の主人(彼は戦前の日本語教育を受け,日本語に堪能で,戦後はじめて日本人が登ってきたというので大喜びで我々を迎えてくれた)がお土産にたいわんときそうの塊茎をくれた。私はそれを大事に育て,ついに日本のときそうより一まわりも二まわりも大きい,美しいとき色の花を咲かせた。
ところがスケッチをするまもなく,たった一日で花は萎れてしまった。しろはなときそうは全くの野草ではないかもしれないが,敢えてここに取り上げたのは,このような経験があったからである。
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