野草とともに
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のうるし Euphorbia adenochlora トウダイグサ科 Euphorbiaceae
私は,この数年来,プロの写真家で植物を よく撮っておられる松岡慶一氏の山野草の観 察会に所属して,月に平均二回,観察に出掛 けている。 松岡さんは本当によく草を知っておられ, 私は行く度に,いくつか知らなかった草を教 えていただいている。
フィールドノートによれば,このスケッチ は1995年4月7日に採集,14日に画く となっている。この日はのうるし(Euphor- bia adenochlora)の群落を見るために,高槻 駅に集合,バスで鵜殿町まで行った。そこは もう淀川河川敷に近い。かなり広い河川敷に は4月の初めとはいえ,吹き抜ける風はひん やりとしていて気持ちがよい。
フィールドノ ートには,この日に見た植物として,おおい ぬのふぐり,ほとけのざ,ひめうづ,たんぽ ぽ,せいようからしな,などが記されている。 淀川本流から少し離れていて,じくじくと湿 ったところのあちこちにのうるしの目にも鮮 やかな黄色の群落がある。この鮮やかな黄色 は苞葉の色である。茎を折ったり,葉をちぎ ったりすると,乳液が出てくるが,これによ って,手がかぶれるので“野漆”という名前 がつけられたという。土地の少し乾いたとこ ろには,せいようからしながよく繁茂していて,これも黄色の花をつけているが,黄色の鮮やかさはのうるしが勝っている。
この属名のEuphorbiaはローマ時代,ムーア人の王Jupa2世の侍医のEuphorbusがこの乳液を薬として使ったことに由来するといわれている。トウダイグサに橙台草があてられているが,理由は分からない。
この日は,松岡さんに河川敷の高い高圧線用の鉄塔の足許のところに,はまはなやすり(Ophioglossum thermate)やこうやわらび(Onoclea sensibilities var. interrupta)が生えているのを教えていただいた。
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