野草とともに
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あれちのぎく Erigeron bonariensis キク科 Compositae
私は以前,あれちのぎくは荒地の菊で荒地 に好んで生える菊だと思っていた。
ところが 広辞苑をひいてみると荒地野菊があててある。 これと同じように,からすのえんどう,すずめのえんどうでも烏の豌豆や雀の豌豆は誤り で,正しくは烏野豌豆であり,雀野豌豆であ る。
迂闊さついでにもう一つ紹介すれば,私はこのスケッチした草を,長い間,その大きさか ら,おおあれちのぎくE.sumarensisと間違え ていて,少しもそれに気付いていなかった。
ところが調べてみると,これはおおあれちのぎくではなくて,あれちのぎくであることが 分かった。これが,素人の情けないところで あるが,図鑑の説明など,よほどの事がない 限り,そんなに詳細に検討しないものである。
この場合,ある植物図鑑におおあれちのぎく は“主軸が伸びて,側枝より高くなる”と書 いてあり,一方あれちのぎくには“則枝が主軸より高く伸びる”と書いてある。このスケ ッチ図は,まさしく花のついている主軸より も,則枝の方が高く伸びているではないか。手もとにある他の図鑑で調べてみても,すべ てそのようになっている。このようにして,自分の誤りを自分で正すことができた時のよろこびは,非常に大きい。あれちのぎくは最近ではConyza属(イズハハコ属)に分類している図鑑もでてきているが,古くからの分類に従ってErigeron属(ムカシヨモギ属)に属するとした。この属にははるじおんE.philadelphicusやひめむかしよもぎE.Canadensisなどがあって,いずれも海外からの帰化植物である。
ここあれちのぎくの種名もbonariensisでチリのブエノスアイレス原産で,南米からの帰化植物であることが分かる。帰化植物は更地などで爆発的に増えたりするので,いずれの植物も環境破壊の指標に使われたりしている。
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