野草とともに
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せんとうそう Chamaele decumbens せり科 Umbelliferae
せんとうそうといっても,首をかしげる人 が多い。
私にしても,この草の名前を知った のは比較的新しい。フィールドノートによれ ば,1994年4月19日に,私の属してい る”ワイルド・フラワーズ”という会が能勢 の妙見でいちりんそうとせんぼんやりの春型 の花の撮影,観察の会を催した。能勢の妙見 は,昆虫採集好きであった小学生の私には憧 れの場所で,家では,なかなかそこへ行くこ とを許して貰えなかったので,今でもそこへ 行くというだけでワクワクするほどである。
その日は無事いちりんそうも,せんぼんやり の春型の花も咲いていて参加者は皆大満足で あった。妙見山の境内の裏側の鬱蒼とした森 陰に,この目立たない草が小さい,白い花を 咲かせていた。いかにも弱々しそうだが,その花から見て,セリ科だと直感した。
この草の名前を会の主催者で,私の草のお 師匠さんである松岡慶一氏がせんとうそうと 教えて下さった。
その日,帰ってから調べて みたところ仙洞草が当てられていた。 この ”仙洞”というのにこだわりがでたので,広辞苑でひいて見ると1)仙人の居所,2)上 皇の御所とあった。能勢妙見は山深いとはいいながら,仙人が住むほどでもないし,2)の場合には,何上皇と関係があったのかわからないし,それに京都で仙洞御所といわれていたところは町中であったような気がするし,いずれにしても,この草が何故仙洞草と名付けられたのかは判然としない。
大体,仙の字をもつ草花は水仙にしろ仙翁にしろ,その名前の由来ははっきりしない。その後1997年3月29日に滋賀県の伊吹小泉にせつぶんそうを見に行った時,矢張り森陰に仙洞草が咲いていた。
この草は何時でも,何かのついでの時に見られる。今では私は,この草を見付けたときは,何時でも同行の人に”この草は食べれば美味しいそうですよ”ということにしている。
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