野草とともに
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ほたるかずら Lithospermum zollingeri ムラサキ科 Boraginaceae
もう40年以上も前,六甲山に登るのに, ケーブル土橋駅の横の道を登ったことがある。
その当時は,ドライブウェイもほとんど整備 されていなくて,丁度,その為の工事が,さ かんに行われていた。とくにくずを退治する のに,
掘り返して,石油をかけて燃やされて いたのが記憶に残っている。その工事現場の 片隅にほたるかずらが咲いていて,その冴え た碧紫色が,まことに印象的であった。その 後も,それとなくほたるかずらに出会いたい と思いながらも,ついに出会うこともなかっ た。
1991年のゴールデン・ウィークに六 甲の高山植物園で“みやまほたるかずら”が 売られていた。早速購入してスケッチしてみ たが,野生のほたるかずらと比べて色が冴え ないし,葉の形状も異なっている。
今,園芸店では,もっぱら,これが“ほたるかずら”, あるいは“みやまほたるかずら”として売ら れている。ところが昨年(1997),私の知り合いが妙高高原でペンションを経営してい るが,そのペンション前の崖地に,花期の終 わった“ほたるかずら”があるではないか。早速,匍匐枝を持って帰り,プランターに挿 し込んでおいた。もともと枯らし名人の私であるから,それほど期待もしていなかったが,これは見事についてくれて,勢いよく枝を伸ばし,今年は花を咲かせてくれた。それに嬉しいことに,その花の色は,私がはじめて出会った時の色で,あの時の感激を,いきいきとよみがえらせてくれた。
このスケッチは今年(1998)の4月14日に画いているが,この開花は例年より半月乃至1ヵ月も早いのではなかろうか。この属名の Lithospermumは“石のような種子”という意味であるが,この4月14日に画いた花が6月1日現在,帯淡紫白色の宝石とも見うような,硬い石果となっているのを確認した。また種名のzollingeriはスイスの植物学者Zollinger (1727~1759)に因んでいる。
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