野草とともに

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ふじうつぎ Buddleya japonica フジウツギ科 Buddleyaceae

ふじうつぎ Buddleya japonica フジウツギ科 Buddleyaceae 平成12年10月28日(土)に私達の探草会の グループは西神戸にある人造湖“つくはら湖” へいわれんげ(Sedum Iwarenge)を見るため に出掛けた。  
この日は朝から小雨が降ったり,やんだり で,歩くのに難渋したがいわれんげはつくは ら湖岸の道路の土どめの石積みのところに, ニョキニョキ生えていた。
この中につめれん げ(S.japonicola)も少しあった。つくはら 湖の周りは自動車も走れるよう舗装されているが,神戸電鉄栄駅から,この湖に至るまで の道や,ここから箱木千年家へ至る道は土道 で,道すがら花を見ながら歩いたが,一番目 立ったのが,スケッチで示したふじうつぎで あった。  

このスケッチは1986年 8月22日に画いてい るが,普通は夏に花を咲かすのに,10月28日 にもなってこのように咲いているのは今年の 異常気象の影響と考えた。同行の人に学名を 訊くとBuddleya japonicaだと教えてくれた。
この湾曲した偏側性の円錐花序は特徴的であ るので知っておられる方も多いと思う。

さてこの“Buddleya”はイギリスの牧師 Adam Buddle氏(1660~1715)に因むもので ある。 A.M.コーツ(白幡訳)の「花の西洋史」によると,このバッドル氏はアマチュアの植物研究 家で,聖職の傍らコケの研究をし,またイギリス産の膨大な植物標本を作り,当時の新しいシ ステムにより分類し,大英博物館に寄贈した。
これは後世の植物学者に非常に役立った。 1720年代に南米の植物の研究をしていたWilliam Housetown博士が自分の集めた植物の中にあった植物の属名にバッドル氏の植物学への貢献に敬意をあらわすために,“Buddleya”を与え た。
これは1730年頃で,バッドル氏の没後15年は経過していた。 このようにしてバッドル氏の名前は属名として残ることになったのであるが,この挿話の中に 私はイギリスにおけるアマチュアリズムの伝統を知ると同時に,現在の商業主義の跋扈に思い を馳せたのであった。
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