野草とともに

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ようしゅやまごぼう Phytolacca americana マゴボウ科 Phytalaccaceae

ようしゅやまごぼう Phytolacca americana マゴボウ科 Phytalaccaceae 11月11日(2001),洛北の紅葉をたのしむ ために,修学院離宮の 近くの寺(曼殊院, 金福寺,円光寺)を訪ねた時,このスケッチ (1990年 8月12日)で示したようしゅやまご ぼうが,すっかり秋の装いをして,これらの 寺の参道に沿う空き地に立っているのを見掛 けた。
そして,これから深まりいこうとして いる秋の景色に一種の風情を与えていた。 ようしゅやまごぼう(Phytolaccaamericana) の属名はphyto=植物,lacca=ラッカーでこ の植物の果実に含まれる紅紫色の色素に由来 している。
種小名の americanaは,勿論,北 アメリカ原産であることを示している。
私見 であるが,一般によく使われているようしゅ やまごぼうよりもアメリカやまごぼうの方が よいように思われる。日本在来種にやまごぼ う(P. esculanda)とまるみのやまごぼう (P.japonica)があって,これに対して明治 のはじめに渡来した,この新参者に,ようしゅ やまごぼうの命名がなされたに違いない。

ところで,日本では,このことと全く関係なく,信州や箱根などの,土産物の店先には, “やまごぼう”が並べてある。これは大低もりあざみ( Cirsium dipsacolepis,キク科 ) の根であり,キク科特有の芳香があってなかなか乙なものである。
ごぼう(Articium lappa) もキク科で,まぁいえば,遠縁の親戚のようなもので,やまごぼうという名にはあまり抵抗 を感じない。もう大分以前のことであるが,私の勤めていた薬科大学の薬大祭に,私のゼミ の学生達が,学校の裏山にある保久良神社の参道傍きの空地からようしゅやまごぼうの根を とってきて,せっせとゆがいているではないか。聞けば明日の薬大祭に店を出して,やまご ぼうとして提供するのだという。
私は慌てて,この根にはキナンコトキシンという有毒成分 が含まれていて中毒をおこすことがあると言ってやめさせたのだが,薬大生にして,この 状態であるのだから,このことはもっと知られてよいと思ったのである。
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