野草とともに
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はんげしょう Saururus chinensis ドクダミ科 Saururaceae
はんげしょう(半夏生)は元来,暦の上で, 夏至から数えて11日目の日をいう。今年は 7月2日であった。
ところで,この植物にこ の名が与えられたのは7月初旬に,このスケ ッチで分かるように,上部につく葉が白くな るのである。そこで,これに半夏生という名 が与えられた。
このスケッチは1991年7 月7日に,私が勤務していた薬大の薬草園の ものを画いているが,私はその後2回,福井 市のお寺と,滋賀県のお寺の境内で見ている。 いずれも池の辺りのやや湿った日当たりのよ くない処に植えられていて,幽玄な感じを与 えるなかなか趣きのある草である。この葉が 白くなることから半化粧という字が当てられ ることもあるが,私には半夏生の方が好もしい。
これはドクダミ科に属しているが,あのど くだみ特有の異臭に似た,かすかな臭いがある。
どくだみのこの特異臭に関して,あるお花 のお師匠さんが,そこにお花を習いに来てい る生徒さんの中に,どくだみの臭いを全然嫌がらない子がいつも少数いると書かれていたことを思い出す。
どくだみは重薬と称して,乾燥してこの臭いを消してから,煎じて,お茶代わりに服まれることが多い。この半夏生も葉を乾燥して,煎じて,利尿剤として使われているそうである。
この属名の Saururus はギリシア語のSaurosoura(とかげの尻尾)からつけられているが, それは,この穂状花序の形と,その特異な臭いとからつけられたと考えられる。種小名 Chinensisは中国原産という意味である。
はんげしょうは,そんなに有名ではないが,サトイモ科のからすびしゃく(Pinellaternata)の球茎を洗って,外皮を去り,乾燥したものは,はんげ(半夏)と称され,生薬 として有名である。 これは球茎を掘り出す時期が半夏の頃で,この名が与えられたと思わ れる。生姜と配合して鎭嘔(特につわり止め)薬として用いられている。
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