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ぼたんづる Clematis apiifolia キンポウゲ科 Ranunculaceae
ぼたんづる( Clematis apiifolia )は夏に, 比較的日当たりのよい路傍で,冴えない白い 花を咲かせる,余り目立たない低木である。
このスケッチは1988年 8月20日に, 私の住む宝塚市逆瀬台の近くで,咲いていたのを画 いたものである。
ぼたんづるには牡丹蔓があてられているが, これは,その葉が牡丹の葉に似ており,葉柄 が蔓になって他の木に巻きつくのでこの名前 が与えられたという。
属名の Clematis (クレマチス )については, 最近花屋さんに行くと , 昔はテ ッセンとして 売られていたものにクレマチスの札がつけら れていることが多い。
クレマチスはギリシャ語 のklema(つる植物の若枝)から来ていて, 今 や多くの人にとって馴染み深い名前になっ て いる。
また種小名のapiifolius(a,um)はapium即ち, セロリに似た葉をもっているという意味である。 セロリは,日本ではその匂いのため敬遠され ていたが,パン食が広がり家庭の食卓にも西洋野菜として定着し,今では何処のスーパーでも買 える野菜となっている。
けれども私はセロリの葉に似た葉をもつとするよりも,牡丹の葉に似た葉 をもつ,paeoniaefolius(a, um)とする方がよいように思う。
このぼたんづるに非常に近い植物にせんにんそう(C.terniflora)があって,これは日本でもヨーロッパでも庭園などに植えられている。
私もハンガリーのブダペストのゲレルトの丘で, これに出会ってびっくりすると同時にたいへん嬉しかったことを思い出す。
この両者を見分けるには, その 白色の冴えの他に,葉に鋸歯があるぼたんづると葉が全縁であるせんにんそう,と葉で区別するのが一番,容易である。せんにんそうはその根が威霊仙と称せられ,利尿・鎮痛薬にも使われる。
ぼたんづるにはこのような使われ方もなくて,あくまで地味であるが,私はその素朴さに強くひかれる。
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