野草とともに
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べにばなぼろぎく Crossocephalum crepidioides キク科 Compositae
私は朝日新聞の夕刊に連載されている湯浅浩史氏の“花おりおり”を愛読している。散歩中に出会う二つの植物がうきつりぼくとアブチロン・ヒブリドウムであることをこれにより知ることができたのは,私にとって非常な喜びであったが,その後この“花おりおり”にべにばなぼろぎく(Crossocephalum crepidioides)が登場したのである。私はずっと前にこれを画いたことを思い出し,積み上げたスケッチの中から,ようやく探し出して,これが 1990年8月8日に神戸薬大の近くの空地に生えているのをとってきてスケッチしたことがわかった。
べにばなぼろぎくのべには,この植物の花の色を指しているのだが,私には紅色より煉瓦色に近いように思われる。またぼろぎくに襤褸菊が当てられ,属が違うがだんどぼろぎく(Erchites hieracifolia),これは妙な名前だが,愛知県の段土山ではじめて見つけられて,段土山の襤褸菊ということでこの名前が付けられた)やのぼろぎく(Senecio vulgrais)の痩果の冠毛が,非常によく似ていて,ここから襤褸菊の名前が付けられたと思われる。
また,湯浅氏の記述によれば,この草は太平洋戦争中,南洋春菊の名で南方戦線の代用野菜にされたという。味にくせがなくて煮ても炒めてもよいという。台湾では畑や道端に生え,今も食用にされているという。私は寡聞にして,このことは全く知らなかったので,一度試してみたいと思っている。
本植物はアフリカ原産で日本における花期は8月~10月とされている。
この属のCrossocephalumの本来の意味はわからないが『日本の野生植物』(平凡社)では,これをべにばなぼろぎく属としている。この種小名の Creipidioidesはこの花の形が,古代ギリシャの革ひもで結んではく靴に似ていることから来ている。
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