野草とともに
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はまひるがお Calystegia soldanella ヒルガオ科 Convolvulaceae
今年の6月,朝日新聞に琵琶湖畔宮の浜のはまひるがお群生地に,保存会ができたという記事が出た。このスケッチは1993年6月10日に画いているので,私たちはすでに10年以上も前から,ここのはまひるがおについて知っていることになる。普通,滋賀県の琵琶湖の近くに山野草の観察に出掛ける場合,どうしても比良山,比叡山,賤ケ岳,伊吹山など,山地に行くことが多くて,琵琶湖畔に行くことは滅多にない。
図鑑を見ればはまひるがおは海岸付近の砂浜に生えるという記載があるが,宮の浜は琵琶湖すなわち淡水の近くの砂浜である。塩水である必要はないのであろう。
はまひるがおには浜昼顔が当てられる。ここで注意すべきは,これは分類的には小昼顔に属するということである。また,昼顔であるから昼間だけ咲いて夕方にはしおれてしまう。
はまひるがおの属名のCalystegiaは“萼が苞で覆われている”という意味であり,その小種名のsoldanellus (a, um)は“その葉の形が貨幣に似ている”ことから来ている。はまひるがおは淡紅色の小形の可愛らしい花をつけ,この植物を愛する人は多い。俳句の歳時記(昭和46年,角川書店)に「“雨やめば浜ひるがほを見に行かん”高野素子」がある。
この文を書いていて10年余り前のことを思い出したが,私たちの山野草観察の世話人で,昨年亡くなられたMさんが,この宮の浜の近くで,むしとりなでしこ(Silene armenia)をとってきて皆に説明された。このなでしこの紅い花は印象的であったが,この草の茎の上部で粘液を出し,それに機械的に小さい虫がくっつくので,むしとりという名前がつけられたというのである。
したがって,もうせんごけ(Drosera rotundifolia)などで消化性の分泌液を出して,昆虫を消化してしまうのとはまったく異なると話されたことが妙に頭に残った。
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