野草とともに

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おおばきすみれ Viola brevistipulata スミレ科 Violaceae

おおばきすみれ Viola brevistipulata スミレ科 Violaceae 摂南大学の勘川さんが“4月29日(19 95)に、滋賀県のマキノスキー場の裏にあ る赤坂山(827m)に山野草を見に行きまんか。多分おおばきすみれ(V.brevistip ulata)も見られますよ”と神戸薬大の図書 館の人達と一緒に誘って下さった。
おおば きすみれを、私は一昨年比良の八雲ヶ原湿原 に近い広場で、保護されているのを見たこと があったが、よほど注意しないと見過ごしてしまうほどで、“ああ、これも滅びていくの か”と悲しく思ったことであった。

この日は午前中は、まあまあであったが赤 坂山の山頂に達する頃から天気が崩れ出して、下山する頃には、相当強い雨になり、転倒するという醜態を演じてしまった。このさほど高くない赤坂山の五合目あたりから、山道沿 いや、山頂にかけて、ところどころに群落が あり、一昨年の比良山の時とくらべて、随分、 心強く思ったことであった。
これとほぼ同じ 高度の森陰には、いわうちわの群落もあちこちにあり、これが野草かと思うほどの、ほのかなピンク色した、あでやかな花を咲かせて いた。
こんなに沢山いわうちわが咲いている のを見たのは久し振りのことである。丁度昼食をとったせせらぎの岸にはみやまかたばみ が数珠見られたし、山道には花期の終わりかけのしょうじょうばかまも見られた。
すみれの類の同定については、私のような素人には大変、難しいと書いたことがあったが、まず、すみれ類を地上に花茎をもつ有茎種(たちつぼすみれ型)に分けるのが有効である。
おおばきすみれはこのスケッチ図でも分かるように有茎種である。そして、とくによく似ているきすみれ(V.orienralis)との違いは、葉の細毛の有無である。きすみれの葉には細毛があるがおおばきすみれには、これが認められない。
この日の山野草探索は雨にたたられたとはいえ、私には大いに満足した一日であった。
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