野草とともに

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いぬほおずき Solanum nigrum ナス科 Solanaceae

いぬほおずき Solanum nigrum ナス科 Solanaceae いぬほおずきは,ほおずきの名前がつけら れているが,Solanum 属(なす属)に属して いて,ほおずき属(Physalis)には属してい ない。
いぬはたいてい役に立たない植物につ けられていて,このいぬほおずきも何かに役 立つということは聞かない。この属名のSola num には「安静にするもの」とか「聖霊」と いう意味がある。同属植物のひよどりじょう ご(S.lyratum)ややまほろし(S.japonse) は,美しい透きとおるような赤色の実をつけ るが,これは種名のnigerum が示すように黒 い色の実をつける。
またSolanum 属には,普 通の人々にも馴染み深いなす(S.melongea) やじゃがいも(S.tuberosa)がある。

いぬほおずきは,日本へはかなり古い時代 に帰化したといわれているが,帰化植物によ く見られるように極めて長い花期(5~11 月)をもっている。このスケッチにしても 「1997年12月3日画く」となっている。 あの阪神大震災の時に神戸薬大の近くもかな り家がこわれて,その後片づけがされてでき たあちこちの更地や空地に非常に早くこの植 物がやって来た。私のフィールドノートには1996年4月18日に,この植物の開花を見たと記録している。
そして,これが,それらの更地や空地を制圧していったことを思い出す。最近では,その当時の勢いは少し衰えてきたようにも思うが,それでもまだよく繁茂しているところがある。
いぬほおずきは,このスケッチでもわかるように花びらが少し反り返っている。ひよどりじょうごほどではないにしても,反り返っているのが面白い。その花は一輪,一輪見ているとなかなか整ったよい形をしている。このスケッチでは淡緑色の実が熟して黒くなるのだが,その黒色を毒々しいと思うのか,余り人々には好かれていない。しかし私は,なすやじゃがいもの花が好きなように,このいぬほおずきの花も草も好もしいと思っている。
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