野草とともに
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すいせん Narcisus tazetta var. chinensis ヒガンバナ科 Amaryllidaceae
すいせんは漢名の水仙を,そのまま日本語 読みしたものといわれ,日本には鎌倉時代か ら室町時代にかけて中国から海流に乗って渡 ってきたものだといわれている。
日本で三大 水仙郷といわれているのが南房総の海岸,福井県の越前海岸,淡路島の灘海岸であること も,このことを裏づけているように思われる。
花は12月中旬頃から2~3月にかけて咲くが,この頃には目立った花が少なく,人目を引く。
この花の気品ある美しさと,その芳香 で,人々に愛されているのも当然のことと思 う。日記を見れば,昨年(1999年)1月 18日に日頃の念願がかなって,淡路島の灘 海岸の水仙郷(ここには500万本の水仙が あると案内板に書かれていたが,この数は, 私には一寸多すぎるように思われた)を訪れ た。
水仙は丁度満開で,やや急な坂道も気に ならないほど,その美しさを満喫することができた。
この属名のNarcisusはギリシャ神話 のナルキッソス(水に映る自分の姿に恋した 美青年)に由来しており,その種小名のtaze tta は小コップあるいは盃の意味で,この花 の副花冠によるものである。
このスケッチは,御影に住む義弟がもってきてくれたものを1月3日に描いている。この花の気品をあらわすことができず,忸怩たるものがあるが,まずは,ミレニアムの初仕事となった。すいせんはリコリンやタゼチンなどのアルカロイドを含む有毒植物である。
私は現役時代,日本産ケシ科植物のアルカロイドの研究をしていたが,久し振りにこれらのアルカロイドの化学構造式を眺めながら,しばし現役時代を回想した次第である。すいせんは,中国ではその鱗莖をすりつぶして,はれものや乳腫などに外用剤として用いられるという。
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