野草とともに
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まつばうんらん Linaria canadensis ゴマノハグサ科 Scrophulariaceae
まつばうんらんにはじめて出会ったのは, 記録によれば1976年 5月22日,宇治の京都大 学化学研究所の構内であった。
その時,この 草の姿にも,その花の色にもたいへん好い印 象を受けた。
そこで家にある図鑑類を片っ端 から探してみたが分からず,そのまま10年以 上もほったらかしにしていた。たまたまドイ ツの植物便覧のPflanzenfu¨hrerを眺めていて Linaria vulgarisの図を見つけ,花の色は違 っているが,草の姿,花のつき方,葉のつき 方などが似ているので Linaria属を探してみ ることにした。ようやく,まつばうんらんに 行きつくことができて非常に嬉しく思った。
その後 5月のはじめ頃に,私の住んでいる 辺りを歩いていて,公園の中や,道路脇など, あちこちに生えているのが分かった。ここに 掲げたスケッチは1995年5月3日に画いたもの である。 1995年 5月18日に高松に行く機会があり,栗 林公園の中でこれが咲いているのを見て,西 日本には,かなり分布していることを知った。
この属名のLinariaは亜麻に似た草という 意味であり,種名のcanadensisはカナダ原産 が,帰化植物であることが分かる。
和名のまつばは松葉で,葉の形から命名されている。うんらんはLinaria属で,唯一つ日本 で自生しているうんらん(L. japonica)から来ている。ところで,うんらんには海蘭という 漢字が当てられていて,海岸に咲く美しい花という意味である。日本では,屡々,ラン科の 植物でもないのにらんという名前をもつ草がある。
私はうんらんの実物をまだ見たことがないので,図鑑で調べてみると,確かに花は美しい が,花の色は全く異なっていて橙黄色であり,その葉はべんけいそうを思わせる肉厚の葉で あり,しかも海岸近くの砂浜に自生しているという。これがまつばうんらんの親戚かと疑う ほどである。
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