野草とともに
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みやまはこべ Stellaria sessiliflora
私達が身近に見るはこべは,実はこはこべ (Stellaria media)かみどりはこべ(S.ne glecta)であるが,現在日本でみられるはこべは,たいていこはこべであるという。
あの 春の七草の歌“せり,なずな,おぎょう,は こべら,ほとけのざ,すずな,すずしろ,こ れぞ七草”と詠まれているはこべもこのいず れかであろう。そして,これらより,やや大 型で,幾分じめじめとしたところに生えるう しはこべ(S.aquatica)も,かなりよく見ら れる。
いずれも,なでしこ科に属しているの で,星のような端正な花の姿をもっている。
私は子供の頃,はこべ塩歯磨というのを使っ ていたが,これは江戸時代,乾燥したはこべ の葉を粉にして,塩と混ぜて,歯磨に使って いたことからきている。この袋にはひよこの絵が描かれていたが, はこべはひよこの餌に極めて似つかわしい。
さてこはこべにしろ,みどりはこべにしろ, その子房からでる花柱が3本で,うしはこべ とうしはこべを区別するのに,もっともよい 指標となる。こはこべとみどりはこべは5本 である。ルーペさえあれば,はこべの花は, その莖の色から区別するのが手っとり早い。 今年の4月19日に能勢の妙見にせんぼんやりの春型の花を見るために出掛けたが,リフト沿いの陰地のあちこちにみやまはこべが咲いているのが見られた。
これは,はこべやうしはこべより大きい(約1.5倍)花をつけ,端正で,凛々しいそれらより,まさっているように思われた。
この日の記録のよれば,はくさんはたざお,せんとうそう,にりんそう,しはいすみれ,ひごすみれ,しゅんらん,なども見ているし,目的としていたせんぼんやりの春型の花を見ることもできた。
みやまはこべは,これ迄,その美しさを認識していなかったが,これを熟視してみて,これも貼るの名花として教えることができるのではないかとさえ思った。
ルーペで見てみるとみやまはこべの花柱は3本で,分類的にはうしはこべよりもこはこべ,みどりはこべに近いということがわかった。
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