野草とともに

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のかんぞう Hemerocallis fulva var. longituba ユリ科 liliaceae

のかんぞう Hemerocallis fulva var. longituba ユリ科 liliaceae 初夏から盛夏にかけて,田の畔道や,やや 湿った原野で,のかんぞう(H.fulva var.lo ngituba)ややぶかんぞう(H.fulva var.kwa nso)が,よく目立つ花をつけているので,直ぐに見付けることができる。
しかし,この両 者を混同している人も多いが,のかんぞうは 一重咲きであるのにたいしてやぶかんぞうは 八重咲きであるので,用意に区別することが できる。このスケッチは,私の勤める薬科大 学の薬草園の正規の場所から,フェンスの外 に溢出していたものを,いただいてきて,画 いたものである。  
のかんぞうには野萱草,また,やぶかんぞうには藪萱草の漢字があてられていて,萱は 忘れるという意味で,憂いを忘れる草という 事で,万葉集には,“わすれぐさ”として, 詠まれているということである。
かんぞうと 同音で甘草があるがこちらはマメ科に属して いて,これらとはまったく異なる蝶形花をつ ける。

この属名のHemerocallisは“一日百合”と か“一日だけ咲く美しい花”という意味だそ うだが,白状すれば,このスケッチにしたの かんぞうは二つの花が開いているのをとって きたのだが,愚図愚図している間にその二つが凋んでしまい,前日蕾であったのが花開いてくれたおかげでようやくこの図に仕上げることができたのであった。
この種名のfulvaというのは“橙赤色の”という意味で,この花色をあらわしている。
確かに,これはその属目のように絢爛とした,ゴージャスな感じを与える立派な花である。
一方やぶかんそうの方は八重咲きであるので一寸ゴタついた感じを与える。もう二十年も前の夏に,台湾に植物採集に行ったとき,それほどの辺りであったか,忘れてしまったが,自動車道路沿いの農家の屋根の上に,野萱草か藪萱草の花と蕾が干してあったことを思い出す。尋ねてみると味噌汁のたねに使われるということであったが,大へん美味であると推奨する人も多い。
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